実はあの昆虫も農薬だった?農薬取締法に見る農薬の定義

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農薬の定義

皆さんは「農薬」いう言葉から、何をイメージするでしょうか。

なんとなく「虫や病原菌を寄せ付けない。殺す作用のある液体の薬」「雑草を枯らす霧状の液体」を思い浮かべる人が多いように思います。

実は農薬は私たちが思っている以上に広範囲で「え、あれって農薬だったの!?」と驚くものも少なくありません。

意外と知っているようで知らない「農薬」について説明したいと思います。

農薬取締法における農薬の定義

農薬の規格や製造、販売、使用などを定めた法律「農薬取締法」に、農薬の定義が記されています。

農作物に害を及ぼす、菌、線虫、ダニ、昆虫、ねずみ、その他の動物や植物、ウイルス(病害虫)の防除(予防と駆除のこと)に用いられるもの。

殺菌剤、殺虫剤、その他の薬剤、農作物などの生理機能の調整に使用される成長促進剤、発芽抑制剤、その他の薬剤、防除の為に使用される天敵の総称。

より分かりやすく言うと、農薬とは「農作物を守ったり、成長を調整したりするのに使われる薬剤や天敵」です。

実は植物成長促進剤や、アブラムシを食べてくれるテントウムシなども、定義上は「農薬」に当てはまります。

【病害虫防除に使う薬剤】
殺虫剤、殺菌剤、除草剤、誘引剤、交信撹乱剤など。

【成長調整に使う薬剤】
発根促進剤、着果促進剤、無種子果剤など。

【病害虫防除に使う天敵】
寄生ハチ、テントウムシ、カブリダニ類、昆虫ウイルスなど。
※生物農薬の一つで、天敵を利用する場合は「天敵農薬」と言う。

農薬取締法 – 農林水産省

農薬の種類

農薬は大きく分けて4種類あります。

  • 登録農薬
  • 特定農薬(特定防除資材)
  • 判定保留中の特定農薬
  • 無登録農薬

2002年12月の農薬取締法改正により、無登録農薬の製造、発売、使用の罰則が厳しくなりました。

そして農作物の防除に使用される、安全性が確かな薬剤や天敵までが規制されないように「特定農薬」制度が作られた、という来歴があります。

農作物は農家だけではなく、家庭菜園や市民農園で栽培されているお米や野菜も含まれるので、それらに使用される農薬に関しては農薬取締法の規制を受けます。

登録農薬

一部の例外を除いて、農薬の製造、輸入、販売ができるのは、農林水産省に登録された農薬(登録農薬)だけです。

農薬の製造者や輸入者は、農薬の薬効や薬害、安全性を確認する資料や試験結果などを提出して、審査に合格したものだけが登録農薬に認定されます。

現在の農薬は以下の6つの条件に当てはまるものが主流になっています。

1.人間やほ乳類、鳥類などへの毒性が弱い。
2.環境中の標的以外の生物には影響が少ない。
3.効果の持続性と残留毒性が低い。
4.薬物の抵抗性が付きにくい。
5.少ない量で効果があり、低価格。
6.飛散や流出が少なく、利用しやすい。

特定農薬(特定防除資材)

原材料に農作物や人間、家畜、魚介、動物、植物に害を及ぼす恐れがない(=登録が不必要なほど、安全性が明らかになっている)として、農林水産省大臣や環境大臣が指定した資材のこと。

「農薬ではない農薬」で「農薬」という名称に反発する意見もあったことから「特定防御資材」とも呼ばれます。

登録農薬は製品ごとに登録を受ける必要がありますが、特定農薬は含まれる成分で製造、輸入、販売、使用が可能です。

現在、特定農薬に指定されているのは重曹、食酢、地場の天敵(地域で採取したテントウムシ、寄生バチ、クモなど)、エチレン、次亜塩素酸水の5種類。

判定保留中の特定農薬

特定農薬の検討資材リストに入っているが、農薬としての効能が明らかになっていないもの。

約740の資材は「判定保留中の特定農薬」で、客観的に効能が証明できるデータの収集と安全性をチェック後に、特定農薬として認定/非認定されます。

判定保留中の特定農薬は、自己判断と責任で使えますが「農薬効果がある」として販売は禁止されています。

無登録農薬

登録農薬や特定農薬でもない農薬。販売や使用は禁止

とはいえ農薬は欠かせない存在

農薬には「なんとなく危険」というイメージがありますが、病害虫からの保護や栽培など、農業には欠かせない存在です。

有機野菜は「農薬や化学肥料を原則使用していない畑で栽培された野菜」を言いますが、やむを得ない事情であれば農薬の使用は認められています。そのため、有機=無農薬とは言い切れません。

現在使用されている農薬は、特定の生物に対してだけ作用するものや、増殖を抑えて被害を回避するものが多いので「すべての生物を殺す」という心配はほとんどありません。

私たちが思い浮かべる「薬剤」だけではなく、テントウムシや寄生ハチなどの昆虫も農薬と定義されているのは面白いですね。

「農薬だから危険」と頭ごなしに思わず「実際にこの野菜にはどのような農薬がどれくらい使用されているのか?」を考えることが、食の安全性を高めるのに繋がると思います。

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