有機野菜や無添加生活で不健康に?新型の摂食障害「オルトレキシア」に要注意
※記事内に広告を含む場合があります
食の安全性の問題、健康を気にするあまり「健康的」「安心安全」「自然」な食品しか食べられず、逆に不健康になってしまう……という、新型の摂食障害「オルトレキシア」になる人が最近増えています。
「健康な物しか食べたくない」「これは不健康だから絶対に食べては駄目」など、極端な食事制限や強迫観念が起こることで、栄養失調や精神的でのストレス、人間関係の不和などを引き起こす可能性が高くなります。
今後、有機野菜や無添加生活を送ろうと思っている人や、家族や友人で実践している人がいる場合、知っておきたい「オルトレキシア」について紹介します。
オルトレキシアの特徴
オルトレキシア(Orthorexia)とは、ギリシア語のortho (正しい、正確な)+orexis(食欲、食生活)が由来の用語で、National Eating Disorder Association(NEDA、米国摂食障害協会)では「正しい食事に対する脅迫概念」と説明されています。
アメリカ精神医学会が出版する「精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM)」には記載されておらず、公式な摂食障害として認められていませんが、実際にオルトレキシアを患っている人は少なくありません。
摂食障害のなかで特に有名な拒食症、過食症は、女性の割合が圧倒的に多いです。
女性の方が、拒食症や過食症の原因になる「ダイエットして痩せたい」という強い願望を持ちやすいことが理由に挙げられます。
一方のオルトレキシアは、もともとの動機が「健康的な食生活がしたい」「自然由来の生活がしたい」という場合が多いので、性別による差は少ないです。ただし男性よりも健康や環境への意識が高い女性の方がなりやすいと言われます。
「健康生活」で避けがちな食品
人によって何を食べる、食べないかは大きく異なりますが「健康重視」の食生活では、以下の食品を避ける傾向にあります。
- 肉や魚、卵など動物性の食品
- 乳製品
- 砂糖、糖質
- トランス脂肪酸
- 農薬を使って栽培された野菜や果物など
- 加工食品
- 遺伝子組み換え食品
- 添加物が入った食品
- ホルモン剤を使った食品
そのため、有機、無農薬、自然栽培や無添加、無加工の食品ににこだわりやすく「それしか食べない」「無い場合は何も食べない」という極端な食生活や思考になる確率が高くなります。
与える悪影響
「健康的な食事、自然な食材、安心安全な食品」を意識し過ぎることで、どのような悪影響が起こる可能性があるのか、まとめてみました。
【健康面】
- 体調不良
- 栄養失調
- 体力の低下
- 拒食症(と似た症状)になる
- 過度な体重の減少
【精神面】
- 「これは絶対に食べない」など脅迫概念、強迫性障害になりやすい。
- 不健康な食生活をすると罪悪感をもつ。
- 1日に3時間以上、健康食品について考えて過ごしている。
- 自分が以前まで好物だった食べ物を「不健康だから」と食べなくなる。
【対人関係】
- 食事が制限されるので、家族や友人との食事が楽しめない。
- 不健康な生活を送る人を見下すようになる。
【その他】
- 健康的な食事をするために、食費が非常に高くなる。
一度にすべての症状や行動が起こるわけではなく、あくまでも一例です。
オルトレキシアを患っている人のなかには、健康診断や血液検査の結果も良く、体重が過度に減っていないなど、健康状態にまったく問題がない場合もあります。
見極めが難しいところですが、それでも「健康的な食品しか食べてはいけない」などの強迫観念が強い場合は、オルトレキシアの可能性を考えてみる必要があります。
オルトレキシアのリスクを確認
実際に自分や周囲の人物が、オルトレキシアのリスクがあるかどうか確認してみましょう。
以下の項目をチェックしてみて、2~3つ以上当てはまっている人は、一度「健康的な食事」について考えてみる必要があります。
【チェックリスト】
・1日に3時間以上、健康食品について考えて過ごしている。
・明日の献立を今日考えている。
・不健康だと感じる食品は食べない。
・食事の質が上がったことで、生活の質が低下する。
・収入の多くを健康だと思う食品を買う食費に使っている。
・健康的に食べていると、自分の自尊心が満足する。
・不健康な食事をすると、罪悪感や自己嫌悪がを感じる。
・家族や友人から、自分の食生活を改善するように言われたことがある。
・家以外の場所では自分が思うような食事をするのが難しい。
・不健康な食生活をしている人を見下す。
・食べ物へのこだわりが強い為、家族や友人との食事が楽しめない。
あまりにも自分ではどうしようもないと感じる場合は、専門家のカウンセリングを受けてみると良いです。
オルトレキシアは新型の摂食障害で、研究もあまりされていない分野ですが、医師もまったく話を聞いてくれないわけではないので、相談してみるだけでも変わってくると思います。摂食障害に関しては、心療内科、精神科、神経科が専門です。
最後に
「健康や安全性を求め過ぎるあまり、不健康になる」のは本末転倒なので、なるべく避けたいところです。
「自宅の近くで自然派のお店がない」「近所のスーパーでは、有機・無農薬野菜が買えない」という場合は、生協の宅配サービスや食材宅配サービスを利用するという手もあります。
食事は美味しく楽しく食べたいもの。
何事もガッチガチに制限せず「加工食品は食べないが、それ以外は何でも食べてOK」「生鮮食品は国産を重視する」「加工品だけは、無添加食品を選ぶ」「野菜にはこだわりたいので、野菜宅配をする」など、柔軟に考えていくことが、心と身体の健康に大切なことだと思います。

