酸化防止剤がワインや飲料、食品に入っている目的と危険性や体への影響とは?

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酸化防止剤

酸化防止剤は、食品に含まれる油脂が酸化したり、食品の風味や色が悪くなったりするのを防止することを目的に使用される食品添加物です。

果実加工品(ワインやジュース、ジャムなど)や缶詰、水産加工品(生食用ボイルたこ、干物など)、食肉加工品(ハム、ベーコン、ソーセージ)、漬け物、パン、お惣菜、飲料など、幅広く利用されています。

食品が変質、劣化する原因の一つに「食品に空気中の酸素が触れることで、食品が酸化する」ことが挙げられます。

食品が酸化すると、変なニオイがしたり、風味が落ちたり、変色(退色や褐色)したりなど、食品の美味しさが損なわれます。

酸化防止剤を添加して、食品の代わりに(酸化防止剤自身が)酸化されることで、食品の品質低下を防ぐ効果があります。

酸化防止剤の種類

酸化防止剤は、水に溶ける「水溶性酸化防止剤」と、油脂に溶ける「脂溶性酸化防止剤」の2種類あり、食品に応じて使い分けされます。

水溶性酸化防止剤

◆アスコルビン酸類
L-アスコルビン酸(ビタミンC、V.C)、L-アスコルビン酸ナトリウム

◆エリソルビン酸類
エリソルビン酸(イソアスコルビン酸)、エリソルビン酸ナトリウム

◆亜硫酸
亜硫酸ナトリウム(亜硫酸塩)、ピロ亜硫酸塩カリウム

◆その他
カテキン、コーヒー豆抽出物(クロロゲン酸)エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム

脂溶性酸化防止剤

◆トコフェロール類
ミックストコフェロール(ビタミンE、V.E)

◆BHTなど
ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)

◆アスコルビン酸エステル類
L-アスコルビン酸パルミチン酸エステル(脂溶性のビタミンC)

◆香辛料抽出物
ローズマリー抽出物、ペパー抽出物、クローブ抽出物

◆その他
ごま油不けん化物、米ぬか抽出物

食品に酸化防止剤を使用した場合は、原材料名に「酸化防止剤(物質名)」の表記を必ず行なうことになっています。

たとえばワインの場合だと、ラベルに「酸化防止剤(亜硫酸塩)」と表示されます。

食品添加物のなかでも着色料だと「野菜色素」「ポリフェノール色素」というように、着色料の使用が一見わからない表記になっていることもありますが、酸化防止剤は「酸化防止剤」と明記されます。

L-アスコルビン酸(ビタミンC、V.C)

L-アスコルビン酸

原材料名の表示例:アスコルビン酸、ビタミンC、V.C
食品例:飲料(お茶など)、果実加工品、漬け物、お惣菜、菓子パン

L-アスコルビン酸(ビタミンC、V.C)は、原料のブドウ糖(グルコース)を発酵させたものです。

水溶性酸化防止剤としてはもっとも多く用いられるものです。

飲料(ストレートジュースや濃縮ジュースなど)に添加すると風味が長持ちしたり、果実缶詰(杏、モモ、黄桃)に使用すると味や色が変わるのを防止したりします。

またお茶飲料にビタミンCが添加されている理由として「お茶の加工や抽出の段階で失われるビタミンCを補うため」という説明がされることもあります。

水溶性のビタミンCを、油に溶けやすくしたものが「ステアリン酸エステル」や「パルミチン酸エステル」です。

ちなみに栄養強化剤(サプリメントなど)に使用される場合は、表示が免除されます。

エリソルビン酸(イソアスコルビン酸)

原材料名の表示:エリソルビン酸、エリソルビン酸NA
食品例:食肉加工品、水産加工品

エリソルビン酸(イソアスコルビン酸)とは、アスコルビン酸(ビタミンC)の異性体です。

※異性体:原子は同じ数、種類だが、異なる構造をしている物質のこと。

アスコルビン酸と同様に毒性はかなり低いですが、還元性が強いのが特徴的です。ただしビタミンCとしての作用はまったくありません。

使用する食品や量に制限はありませんが、酸化防止以外の目的には使用不可です。

現在はアスコルビン酸(ビタミンC)の使用が主になり、エリソルビン酸(イソアスコルビン酸)を用いることは少なくなっています。

亜硫酸ナトリウム(亜硫酸塩)

赤ワインと白ワイン

原材料名の表示例:亜硫酸塩
食品例:ワイン、ドライフルーツ

亜硫酸ナトリウム(亜硫酸塩)ワインなどの果実酒やドライフルーツ(干しぶどうを除く)などの変色防止に用いられる機会が多い酸化防止剤です。

亜硫酸塩には「二酸化硫黄」「次亜硫酸ナトリウム(Na)」「ピロ亜硫酸ナトリウム(Na)」「ピロ亜硫酸カリウム(K)」がありますが、表記は一括で「亜硫酸塩」です。

ワインに酸化防止剤を使うことで「ぶどう酵母の過発酵を防止する」「製造中の雑菌や微生物の繁殖を抑制する」「完成したワインの酸化を防ぐ」など、品質を保持する目的があります。

ただしワインに使用される酸化防止剤(二酸化硫黄)を原因とした、頭痛や胃痛、悪酔いが引き起こされる人もなかにはいます。

「酸化防止剤入りのワインを飲むと、体調が良くない」という人は、酸化防止剤不使用の無添加ワインを試してみるとよいと思います。

カテキン

カテキン

原材料名の表示:カテキン
食品例:清涼飲料水、菓子、油脂、水産加工品、食品加工品

カテキンは「ツバキ科チャの茎、葉」や「マメ科ペグアセンヤクの幹と枝」、「アカネ科ガンビールの幹と枝、葉」から抽出・精製した成分です。

主成分はカテキン類で、酸化防止剤の作用のほかにも、殺菌や消臭の効果もあります。

安全性の高い酸化防止剤の一つで、体に影響を与える心配は、ほとんどありません。

ビタミンE、クエン酸、ビタミンCと併用することで、さらに酸化防止剤の効果が高まります。

トコフェロール(ビタミンE、V.E)

トコフェロール(ビタミンE)

原材料名の表示例:ミックストコフェロール、トコフェロール、V.E、抽出V.E、ミックスV.E
食品例:油脂類、バター、菓子、即席めん、フライ製品、食肉加工品

トコフェロールは、いわゆる「ビタミンE」のことです。

食品添加物のトコフェロールは植物油脂から分離・精製したもので、天然のトコフェロールにはα(アルファ)、β(ベータ)、γ(ガンマ)、δ(デルタ)の4種類あります。

その4つの混合物が「ミックストコフェロール」と呼ばれます。

ビタミンEの抗酸化作用は、下記で紹介するBHAやBHTと比較して低いですが、安全性や認知度の高さから幅広く利用されています。

天然酸化防止剤の一つで使用基準はありませんが、酸化防止剤のなかでもかなり高価な方なので、過剰に使われる心配がないぶん、過剰摂取の危険性も低いです。

ちなみにミックストコフェロールから分離したのが、「d-α-トコフェロール」、「d-γ-トコフェロール」、「d-δ-トコフェロール」です。

ビタミンEを含んだビタミン剤やサプリメントでよく見かけます。

トコフェロールはビタミンCと同じように、栄養強化の目的で使用される場合は表示不要です。

ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)

原材料名の表示:ジブチルヒドロキシトルエン、BHT
食品例:食用油脂(バター、マーガリン)、チューインガム、魚介冷蔵品、煮干し

ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)は、p-クレゾールとイソブチレンの化学的合成で製造される合成酸化防止剤です。

脂溶性酸化の防止剤で、バターやマーガリンなどの食用油脂に添加されることが多いです。

ほかの酸化防止剤と比較して安定性があり、BHA(ブチルヒドロキシアニソール)やアスコルビン酸(ビタミンC)などと併用して使用されることが多いです。

たとえばBHTとBHAと併用した場合は「酸化防止剤(BHT、BHA)」「酸化防止剤(ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール)」と、両方の物質名が表記されます。

またBHAとBHTに関しては、投与した動物への発がん性が指摘されています。

酸化防止剤は体への影響や危険性はある?

低リスク

使用する酸化防止剤や、酸化防止剤を含む食品を飲食する頻度・量にもよりますが、日常的な食生活では体への悪影響や危険性は低いです。

酸化防止剤は「食品の酸化を防ぎ、品質や保存性を高める」ことを目的としています。

無添加にすると食品の劣化が早くなるため、飲料や加工食品には欠かせない食品添加物の一つです。

極端になれば「酸化して品質が低下した食品と、酸化防止剤が添加された食品を食べるのとでは、どちらが危険性が高いか?」という話になってしまいます。

◆L-アスコルビン酸(ビタミンC)、トコフェロール(ビタミンE)
原料となるイモ類、トウモロコシ、大豆に遺伝子組み換え作物が使われている可能性が指摘されています。

ただし食品への使用量は微量なので、体への影響を及ぼすほどの影響力は考えにくいです。

◆BHA(ブチルヒドロキシアニソール)とBHT(ジブチルヒドロキシトルエン)
酸化防止剤のなかで「発がん性」が指摘されているのはBHA(ブチルヒドロキシアニソール)とBHT(ジブチルヒドロキシトルエン)です。

ただし発がん性が報告されたラットに投与したBHAの量が「通常使用量の数万倍」とケタ外れに多いので、1日の摂取許容量(ADI)での摂取であれば、危険性は低いと言われます。

◆亜硫酸塩
ワインに酸化防止剤として使用される亜硫酸塩(二酸化硫黄)は、人によっては頭痛や胃痛、悪酔いを引き起こす原因になります。

ちなみに「どの酸化防止剤を避けた方が、より安全性が高いのか?」に関しては、生協の食品添加物基準が参考になるかと思います。

日本生協連の食品添加物基準(PDFファイル)では、以下の酸化防止剤が「不要添加物」「留意使用添加物」に指定されています。

◆不使用添加物
日本生協連の安全性評価の結果、明らかな問題点が指摘された添加物のこと。

物質名:EDTA二ナトリウム(エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム)

◆留意使用添加物
日本生協連の安全性評価の結果、問題点(安全性、必要性、有用性など)が指摘された添加物のこと。

物質名:ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、EDTAカルシウム二ナトリウム(エチレンジアミン四酢酸カルシウム二ナトリウム水和物)

おもに酸化防止剤で使用されるのは「ビタミンC」と「ビタミンE」なので、原材料名の酸化防止剤に(V.C)や(V.E)が表記されていれば「特に心配は要らない」と判断してもよいと思います。

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