葉酸(ビタミンM、B9)が多い野菜とは?妊婦さんが摂るべき理由と過剰摂取のリスク
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葉酸(ようさん)はビタミンB群の1種で、ビタミンMやビタミンB9とも呼ばれます。
新しい赤血球が作られる際に欠かせない栄養素で、不足すると「悪性貧血」の原因になり、鉄不足の鉄欠乏性貧血とは異なる貧血になります。
また新しい細胞が作られる働きにも深く関わりがあります。
特に細胞分裂がもっとも盛んな胎児~幼児期には、葉酸不足にならないよう注意が必要で、妊娠を計画している女性~授乳中の女性は意識して摂る必要があります。
スーパーなどで見かけやすく、普段の食事で食べやすい葉酸が多い野菜をランキング形式で紹介します。
◆葉酸が多い野菜ランキングTop10
- なばな:340μg
- 枝豆:320μg
- からし菜:310μg
- モロヘイヤ:250μg
- 芽キャベツ:240μg
- パセリ:220μg
- ブロッコリー:210μg
- あさつき:210μg
- ほうれん草:210μg
- 切り干し大根:210μg
数値は100gあたりの葉酸の含有量です。
◆1日に必要な葉酸の摂取量
成人男性・女性
必要量:200μg
推奨量:240μg
上限量:1,000μg
※妊娠を計画していたり、妊娠の可能性があったりする女性は400μg、妊婦は440μg、授乳婦は340μgが推奨量です。
この記事の目次
なばな(菜の花)
なばな(菜の花)は、各種ビタミンとミネラルを豊富に含むアブラナ科の野菜です。
つぼみと茎、葉を食べる東洋種と、茎と葉を食べる西洋種があり、葉酸が多く含まれるのは東洋種の方です。
生で食べることはなく、ゆでると葉酸が水に溶け出してしまいます。
それでも、おひたし1皿分(約50g)で一日に必要な葉酸の半分が摂取できます。
鉄欠乏性貧血を防ぐ鉄分や鉄分の吸収を促進するビタミンCも多く含まれており、各貧血の予防に効果的です。
抗酸化作用のあるβカロテンやビタミンE、骨の健康を維持するカルシウムも見逃せない栄養素です。
選び方
◆葉や茎がやわらかい
下の切り口が瑞々しいもの。茶色く変色したものは避けます。
◆つぼみが開いていない
つぼみが固く閉まっているものを選びます。
つぼみが開いたり、花が咲いたりすると、独特のエグミが増して、味が落ちます。
保存法
◆冷蔵(保存期間:1週間)
水を入れたボウルにつけた後、水気をよくふき取り、ペーパータオルで包みます。
ポリ袋に根本を下にした状態で入れて、袋の口を軽く閉じます。
深めの容器(上部分を切ったペットボトルなど)に入れて、冷蔵庫に立てて保存します。
◆冷凍(保存期間:1ヶ月)
塩を入れたお湯でさっとゆで、冷水にさらして、水気をしぼります。
食べやすい大きさに切ったあと、小分けにして、ラップに包みます。金属のトレイに置いて急速冷凍し、冷凍用保存バックに入れます。
料理法
ゆでて和え物やおひたしが定番の食べ方です。
なばなに多く含まれる葉酸やビタミンCは水溶性なので、長時間水につけず、短時間でさっとゆでて、ザルにあけることで栄養を逃しません。
たとえば「なばなの白和え」は、高たんぱく質な豆腐とビタミンE豊富なごまと組み合わせることで、免疫力アップの効果が高まります。
また下ゆでせず、そのまま油炒めにすれば、脂溶性ビタミンのβカロテンやビタミンEの吸収率がアップします。
「菜の花とベーコン炒め」や「菜の花と卵の炒め物」など、たんぱく質が豊富な食材と組み合わせると、コラーゲンの生成に役立ち、ハリのある肌に。
枝豆
葉酸が多い野菜は、葉を食べる「葉物野菜」が多いのですが、実は豆類にも豊富に含まれています。
枝豆は大豆が未熟なときに収穫した「未成熟な豆」で、分類的には野菜類(実野菜・緑黄色野菜)でありながら、大豆と同じくたんぱく質を多く含みます。
ビタミンB1やビタミンC、カリウム、カルシウム、食物繊維なども多く、全体的に栄養価の高い野菜です。
また枝豆にも含まれる大豆イソフラボンは、女性ホルモンに似た働きをするので、肌を若々しく保ったり、骨粗しょう症の予防など、女性に嬉しい健康・美容効果をもたらします。
安全な一日の摂取目安量は70~75mgで、過剰摂取は女性ホルモンのバランスを乱す原因になります。
大豆イソフラボンの含有量は、100gあたり枝豆:約30mg、大豆:約140mgと、大豆と比較して低いので、たくさん食べても過剰摂取にはなりにくいです。
枝豆の旬は夏~秋ですが、冷凍食品でもよく見かけるので、一年中食べられます。
冷凍枝豆はゆでたあと、急速冷凍しているため、栄養価は生のえだまめとほとんど変わりません。
選び方
枝付きのものは、一枝にサヤがたくさん付いているものを選びます。
サヤの緑色が鮮やかで、産毛が付いていたり、豆がふっくらしているものは、鮮度がよい証拠です。
保存法
枝豆は鮮度が落ちやすく、ビタミンや糖度も下がるので、早めにゆでて食べるか、冷凍保存をします。
◆冷蔵(保存期間:1~2日)
枝付きのものは、枝を1cmほど残して切ります。
新聞紙やキッチンペーパーで包んでから、ポリ袋にいれて冷蔵室で保存します。
◆冷凍(保存期間:2ヶ月)
塩ゆでして、ザルにあげます。充分に冷めたら、冷凍用保存バックに入れて冷凍室で保存します。
食べる前日に冷蔵庫に移して自然解凍、または流水で解凍をします。
カラシ菜
カラシ菜は刺激的な香りと、辛味が特徴的なアブラナ科の野菜です。
葉酸のほかに、造血に必要な鉄分、鉄の吸収を高めるビタミンCも多く含まれており、貧血予防に効果を発揮します。
骨の形成を促すビタミンKやカルシウムもたくさん含まれているので、骨粗しょう症が気になる方にもおすすめです。
辛味の成分は「シニグリン」と言い、食欲増進や免疫力の向上、がん予防の効果も期待されています。
ちなみに名前が似ている「わさび菜」は、カラシ菜の変種から誕生したと言われます。ほかにも「高菜」や「サラダからし菜」もカラシ菜の仲間です。
選び方
◆茎が細めで柔らかいもの
茎が太すぎるものは、葉がゴワゴワと固い傾向があります。
保存法
ゆでて冷凍保存する場合は、1ヶ月程度であれば、からし菜独特の風味が残ります。
◆冷蔵(保存期間:1週間)
新聞紙やキッチンペーパーで包み、ポリ袋に入れて、冷蔵庫に立てて保存します。
◆冷凍(保存期間:1ヶ月)
さっとゆでたあと、しっかり水気をしぼります。
小分けにしてラップに包み、冷凍用保存バックに入れて冷凍庫で保存します。
料理法
さっとゆでておひたしにしたり、炒めたりするのが定番の調理法です。
長期保存には、昔ながらの漬物(塩漬けやしょうゆ漬け)という方法もあります。
ゆで過ぎると独特の辛味や、葉酸やビタミンCなどの水溶性ビタミンが抜けてしまうので、さっとゆでて、水にさらして、冷えたらすぐに引き上げます。
モロヘイヤ
モロヘイヤはエジプト原産で「クレオパトラが好んで食べていた」とも言われるくらい、非常に栄養価の高い野菜の代表格です。
葉酸のほかにもビタミンAも豊富で、含有量はにんじんやほうれん草よりも多いです。
またビタミンC、Eも多く含まれており、各ビタミンの相乗効果により抗酸化力がさらにアップします。
独特のネバネバには、胃の粘膜を守ったり、肝臓や腎臓の機能を高めたりする働きがあります。
モロヘイヤは夏によく出回る野菜で、オクラや長芋、納豆など同じネバネバ食材と組み合わせることで、夏バテ解消やスタミナを強化したいときに効果を発揮します。
選び方
葉と茎がみずみずしく、色が鮮やかなものを選びます。
葉の大きさは5~6cmくらいが、固くなく柔らかい目安になります。
保存法
モロヘイヤは葉野菜のなかでも傷みやすいので、早めに食べたり、新鮮なうちに冷凍保存したりすることをおすすめします。
◆冷蔵(保存期間:1~3日)
モロヘイヤをペーパータオルで包み、ポリ袋に入れて、口を軽く閉じます。冷蔵庫に立てて保存します。
◆冷凍(保存期間:1ヶ月)
さっとゆでた後、しっかり水切りをして、ラップに包み、冷凍用保存バックに入れて冷凍庫で保存します。
汁物やスープには凍ったまま使い、和え物には使う前日に冷蔵庫に移して自然解凍させます。
料理法
葉をおひたしやスープにするのが一般的な食べ方です。
モロヘイヤに多く含まれる葉酸やビタミンCは水溶性ビタミンなので、長時間ゆでたり、水につけたりするとと栄養分が流出しやすくなります。
お湯で20秒くらいゆでて、葉の緑が色鮮やかなうちにザルに上げて、冷水に入れて熱が取れたら引き上げます。
栄養面を考えるならば「モロヘイヤスープ」など、なるべく汁ごと食べるような料理が向いています。
芽キャベツ
芽キャベツはベルギー原産のキャベツの仲間です。
葉の付け根の芽(側芽)が球状になったもので、大きさは1口程度と小さいのですが、一般的なキャベツより栄養価が大変優れています。
特にビタミンCはキャベツの4倍と豊富に含まれており、ほかにもビタミンB群(B1、B2、B6、葉酸)や健康的な骨を作るビタミンKも合わせて多いです。
選び方
葉の緑が鮮やかで、葉の巻きがしっかりしているものを選びます。黄色がかったものは鮮度が落ちています。
小ぶりのサイズで、固そうなものが、強い旨味を味わいやすいです。
保存法
◆冷蔵(保存期間:1週間)
ペーパータオルで包み、ポリ袋に入れて、口を軽く閉じて、冷蔵室で保存します。
◆冷凍(保存期間:1ヶ月)
さっと固めにゆでて、使う分ごとにラップで包んで小分けにして、冷凍用保存バックに入れて冷凍庫で保存します。
料理法
芽キャベツは生だと苦味を感じやすいので、料理に使う前に下ゆでをして、アクを抜き、苦味を抑えた方が食べやすいです。
外側の葉を取り、軸芯の部分に十字の切り込みを入れて、1分ほど下ゆでをします。
おもに煮込み料理に使うことが多く、スープやシチューの具材にするのが定番の食べ方です。
いろいろな食材を一緒に入れることで、さまざまな栄養が摂れます。
葉酸の過剰摂取や欠乏によるリスクはある?
1日に必要な葉酸の摂取量は成人男性・女性で200μgです。
葉酸には細胞を新しく作る働きがあり、妊娠を計画していたり、妊娠の可能性があったりする女性は400μg、妊婦は440μg、授乳婦は340μgが推奨されています。
水溶性ビタミンは体内に蓄積できず、水分と一緒に排出されるので、毎日、充分な葉酸を摂取する必要があります。
とり過ぎ:特になし
食品から葉酸を摂取するぶんについては、とり過ぎの心配はありません。
葉酸は水溶性ビタミンで、水に溶けやすく熱に弱い性質があるので、ゆでたり、水につけたりすると含有量は減ります。
また食品に含まれる葉酸は「天然葉酸」で、体内での吸収率が約50%と低いので、普段の食生活で野菜から葉酸を取り過ぎることは考えにくいです。
一方で「サプリメント」からの摂取には注意が必要です。
妊娠を希望する女性や妊娠中~授乳中の女性は「葉酸サプリメント」を飲む人が多いのですが、1粒あたり100μgや200μgと多く、過剰摂取による副作用のリスクがあります。
不足:葉酸欠乏性貧血など
血液中の葉酸が不足すると葉酸欠乏性貧血になります。
鉄が不足すると「鉄欠乏性貧血」、ビタミンB12不足だと「悪性貧血」と、不足する栄養素によって起こる貧血に違いがあります。
葉酸欠乏性貧血では、一般的な貧血と同じ症状(疲れやすさ、疲労、舌のむくみ、口の中が痛いなど)が現れます。
葉酸が多い野菜は、鉄分が多い野菜とも共通しているので、積極的に食べて貧血予防に役立ててみてください。
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