無水調理の元祖「無水鍋」の魅力と使い方!ストウブやル・クルーゼとの違いは?

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無水鍋

無水鍋は1953年に広島で誕生したロングセラーの両手鍋(無水鍋)です。

日本初の厚手アルミニウム鋳物鍋で、フタにはつまみがなく、持ち手がついており、鍋とかっちり合わさった特徴的な見た目をしています。

密閉性が高く、食材の水分を利用した「蒸しゆで」「蒸し焼き」「蒸し煮」など無水調理に抜群の使い勝手を発揮します。

野菜の下ごしらえのほかにもご飯を炊いたり、オーブン料理に使ったりと、1台8役をこなす万能鍋です。

料理研究家の有元葉子さんが愛用している鍋としても有名で『無水鍋で料理する』や『有元葉子の無水鍋料理』などの無水鍋を使ったレシピ本も出ています。

無水鍋の特徴

無水鍋は株式会社HALムスイ(ハルムスイ)が手がける無水調理鍋です。

2017年7月1日に社名を変更しており、旧社名の生活春秋の方が聞き馴染みがあるかもしれません。

「ガスでも羽釜と同じくらい美味しいご飯が炊けるように」と開発されたのが、元祖アルミ鋳物鍋の「キング印 無水栄養ナベ」です。

無水調理の大定番鍋

無水鍋は名前通り無水調理に最適な鍋です。

独特の平べったいフタで閉めることで、鍋の中の蒸気がフタと鍋本体の間の溝に溜まり、水の膜ができます。

これを「ウォーターシール」といい、水分の余分な蒸発を防ぎます。

非常に高い気密性は、フタをしたまま加熱後、火を止めてしばらく置いておくと、簡単にフタが開かなくなるほどです。

そのため、食材や水洗い後の水分+αで、充分に食材を加熱できます。

蒸しゆで、蒸し煮、蒸し焼きには最適で、少ない水分と調味料で、素材のうま味が凝縮した料理が作れます。

たとえば野菜を洗った後の水分だけで蒸しゆでができるのは、多くの水分を必要としないので、ビタミンCなどの水溶性ビタミンが水に溶け出すことなく栄養が保たれます。

1台で8役を兼ねる

無水鍋は無水調理のほかにもさまざまな調理法に使えます。

フタをすればウォーターシール効果により均一加熱と短時間料理ができ、毎日の食事作りの時短になります。

鋳物ホーロー鍋は「煮込み料理」「おもてなし料理」「作り置きで大量調理」など、何となく利用する機会を限定しがちですが、無水鍋は毎日の食卓で使いやすくなっています。

1台で何でも使えるので「たくさんの鍋を持ちたくない」と思うミニマリストの方にも愛用者が多いです。

◆焼く
肉や魚など、焼き物も均一に焼き上げます。
内側が非フッ素樹脂加工の場合は、油やクッキングペーパーをひくことで、食材が鍋底にくっ付きにくくなります。

◆ゆでる
食材の水分と洗ったときの水気+αで調理する「蒸しゆで」は、たくさんの水を使わないぶん、うま味と栄養が流れ出ません。
色鮮やかに仕上がることで、料理を目でも味わえます。

◆煮る
無水調理を使うことで、少量の水分と調味料で、食材の本来の味わいを活かした料理ができあがります。
煮物も短時間で中まで火が通り、ガス代の節約にもなります。

◆揚げる
熱伝導性が高いアルミ鋳物鍋なので、熱回りが早く少ない油でもカラッと揚がります。

◆炊く
炊飯器よりも早くご飯が炊き上がります。白ご飯以外にもお焦げ付きや炊き込みご飯も短時間で美味しく炊けます。

無水鍋は1921年創業の田島倉造商店が製造・販売していたアルミニウム製の羽釜がルーツとなっています。

愛用者から「美味しいご飯が炊ける」とベタ褒めされるのは、当時の「ガス火でも美味しく炊けるように」の意気込みが、きちんと根付いているためかもしれません。

◆蒸す
蒸気を逃さず、短時間でふんわりと蒸し上がります。

プリンや茶碗蒸しなどの料理も「す」が入らず、きめ細かで滑らかな舌触りになります。

レンコン、さつまいも、ニンジンなどの根菜類を蒸すときは、別売りの「蒸し板」があると、野菜が水に浸からないので、底部分のベチャベチャが防げます。

◆オーブン(天火調理)
オーブン料理(電子レンジのオーブン機能)にも使用OKです。

パンやケーキの入れ物として使うと、熱の当たりがやわらかいぶん、ふんわり&しっとりな焼き上がりになります。

アルミ製で火の通りが早い

キッチンタイマー、時計

無水鍋はアルミ製の鋳物鍋です。

鋳物とは、金属をドロドロに溶かして、鋳型(いがた/鋳物の型)に流し入れて作られた製品のこと。

鍋やフライパンのほかにも、マンホールや歯車、仏像、たい焼き器など、さまざまな製品があります。

無水鍋はアルミニウム製で熱伝導性がよく、鉄の約3倍、ステンレスの約14倍です。

他材質(鉄、ホーロー、ステンレスなど)の厚手鍋よりも、かなり早く火が通ります

特に厚手鍋や鋳物ホーロー鍋を使った経験がある人にとっては、あまりの火の通りのよさに驚くかもしれません。

「なかなか煮汁が温まらない」「水が沸騰するまでに時間がかかる」などのストレスがなく、短時間で美味しい料理が作れます。

調理中も強火にする必要がなく、沸騰するまでは中火、沸騰後は弱火で充分なので、光熱費の節約にも役立ちます。

また火を止めたあとも、高温状態が続くので余熱料理にも使えます。

ル・クルーゼやストウブに代表される「鋳物ホーロー鍋」は、鉄の鋳物にホーロー(ガラス質の釉薬)を高温で焼き付けた鍋で、無水鍋とは原材料と加工に違いがあります。

鋳物ホーロー鍋のル・クルーゼとストウブの違いに関しては、下記の記事でくわしく比較しています。よろしければご一読ください。

ほとんどの加熱機器に使える

無水鍋はほとんどすべての加熱機器で使用可能です。

  • 直火
  • IHヒーター
  • ハロゲンヒーター/ラジエントヒーター
  • シーズヒーター/エンクロヒーター
  • オーブン

使えないのは電子レンジ(機能)くらいです。これはル・クルーゼやストウブなどの鋳物ホーロー鍋も同じです。

そのため、引っ越しやキッチンのリフォームによって加熱機器が変わっても、ずっと使い続けられます。

フタも調理に使える

フタには持ち手がなく、鍋本体と同じ素材で作られているので、逆さにして、フライパンのように使うこともできます。

たとえば、フタで焼き物や炒め物を作り、本体でみそ汁やスープを作るという使い方も可能です。

ただしフタは直火しか使えないので、IHクッキングヒーターなどを利用されている家庭では試せません。

2017年11月にKINGシリーズが登場して、IHクッキングヒーターにも使えるように仕様が変更されましたが、フタだけは変わらずに使えない感じです。

使い方の注意点

今まで一般的な両手鍋や片手鍋を使っていた人が、初めて無水鍋を使うと、少し戸惑う部分が多いかもしれません。

無水鍋を使う時の注意点をまとめました。

長時間・強火での空焚きは厳禁

フッ素樹脂加工などのコーティングがされておらず、正直鍋底に食材がくっつきやすいので、予熱(中火弱で2分以内)することが大切です。

ただし強い火加減や長時間の予熱になると「空焚き」になり、鍋を傷める原因になります。

特に無水調理をするときは、予熱後にスプーンや小皿などを使って水を数滴ほど落として、玉状にコロコロと転がれば、調理開始OKのサインになります。

そのままの保存が難しい

ル・クルーゼやストウブなどの鋳物ホーロー鍋は、調理後、そのまま冷蔵庫に入れて保存ができます。

これは保存容器にも使われる「ホーロー」だから可能なことで、無水鍋は塩分や水分で鍋が傷む恐れがあるとして、調理後は早めに鍋から料理を移し変える必要があります

一晩くらいであれば大丈夫ですが、2~3日以上そのままにすると、鍋の腐食を引き起こすリスクが高まります。

手入れ(後片付け)は手間がかかる

◆温かいうちに洗う
使用後、手で触れるくらいの温度まで下がったら、温かいうちに中性洗剤を含ませたスポンジで洗って良くすずぎます。
すぐに水を入れたり、水につけっぱなしにすると、品質が劣化する原因になります。

焦げ付きは、鍋を少し温めてから、クレンザーを付けた金属タワシでこすって落とします。

ル・クルーゼやストウブなどはホーロー加工なので、水を入れっぱなしにしたり、スープなどをそのまま保存したりも可能です。

◆水気NG 乾燥が大事
洗った後は、水分をよくふき取って、全体を乾燥させてから湿気の少ない場所に収納します。
乾燥不足や濡れたままの放置は、鍋が変色する原因になります。また鍋底(溶射部分)が濡れた状態で火にかけると傷みやすいです。

無水鍋のシリーズ商品

無水鍋は半世紀以上に渡り販売されており、2017年11月1日に新シリーズが発売されました。

スタンダードな両手鍋「KING Series」と、片手鍋でフッ素樹脂加工の「HAL Series」があります。

お店によっては旧タイプの取り扱いしかない場合も考えられるので、購入前によく確認することをおすすめします。

KING Series

無水鍋

KING無水鍋は1953年の無水鍋の復刻版モデルです。2017年グッドデザイン賞を受賞しています。

発売以来の機能と基本デザインは変わりませんが、今の生活に合わせて、より美しく、使いやすい仕様にアレンジされています。

IHクッキングヒーターに対応できるように仕様が変更したのが、以前の無水鍋との大きな違いになります。

サイズ展開は18cm20cm24cmの3サイズです。

18cm 20cm 24cm
取っ手を含む長さ 25.4cm 27.4 31.6cm
深さ 本体7cm/フタ3cm 本体7.8cm/フタ3.4cm 本体9.4cm/フタ4.1cm
満水時の容量 本体1.8L/フタ0.8L 本体2.4L/フタ1L 本体4.0L/フタ1.9L
重さ 全重量1.39kg
本体830g/フタ560g
全重量1.59kg
本体950g/フタ640g
全重量2.24kg
本体1,340g/フタ900g
最大炊飯量 2.5合 4合 6.5合

鋳物ホーロー鍋と比較すると、20cmサイズは同じくらいの容量が入ります(ル・クルーゼ2.4L/ストウブ2.2L)。

持ち手含む長さは同じくらい、高さはフタが平べったいので低めになっています。

もっとも大きな違いは重さで、鋳物ホーロー鍋の半分の重さしかありません。

軽さと丈夫さがアルミ鋳物鍋の特徴で、一般的な両手鍋と同じ重量感なので、収納場所を変える必要もなく、持ち運びも楽々です。

「無水調理をしようと思って買ったけど、重くて使う機会が少ない」という失敗もありません。

HALシリーズのようなフッ素樹脂加工は施されていないので「焼き物や炒め物では油を入れないとくっつきやすい」というデメリットはありますが、不向きな調理法はなく、どのような料理にも万能に使えます。

HAL Series

HALシリーズ

HALシリーズは「鍋つかみなしで使いたい」「手入れが楽な無水鍋が欲しい」という利用者の声から生まれた商品です。

HAL万能無水鍋(23/26)」と「HAL片手無水鍋(16.5)」があり、樹脂製の取っ手を付けたり、鍋の内側にフッ素加工を施したりして、より日常的に使いやすくなっています。

省スペースでコンパクトに収納できるので、一人暮らしや収納が少ない家庭でも、簡単に無水調理ができます。

公式サイトのHALシリーズの商品説明を見ると△、○の記載された表があります。

この意味を株式会社HALムスイに問い合わせした所、形状やフッ素加工が施されていることで「向かない料理がある」というよりも「より上手くできる調理がある」ことを示す表とのことでした。

HAL万能無水鍋 HAL片手無水鍋
鍋の種類 注ぎ口付きの深めフライパン 浅鍋 + 深鍋 + ガラスフタ
無水調理
炊く
蒸す
金属製の蒸し板は使用不可
煮る
ゆでる
焼く
※浅鍋仕様
炒める
※浅鍋仕様
揚げる
オーブン(天火)

◆HAL万能無水鍋
一言で説明すると「注ぎ口ありの深底フライパン」タイプです。

内側がフッ素樹脂加工なので、食材が底にくっつきにくく、焼き物や炒め物、揚げ物に使い勝手が良いです。

もちろんフタをすれば無水調理も可能です。フタが取っ手付きなので、ミトンがなくてもフタが開けられます。

◆HAL片手無水鍋(16.5)
「浅鍋(ミニフライパン)」「深鍋(片手鍋)」「ガラスフタ」がセットになった商品です。

調理法で組み合わせを変えることで、いろいろな料理に対応します。

浅型+深鍋 → 炊飯、無水調理、オーブン料理
深鍋 → 無水鍋の片手鍋
浅型 → ミニフライパン(HAL万能無水鍋の注ぎ口なし版)

無水鍋の中で唯一「ガラスフタ」が付属しており、フタをしても中の様子がわかりやすいのがメリットです。

ただし無水調理のときには使えず、浅型と深鍋の縁と縁を合わせる形になります。

無水鍋と鋳物ホーロー鍋の違いとは?

ルクルーゼとストウブ

株式会社HALムスイの無水鍋は、元祖アルミ鋳物鍋で、似たような無水調理ができる両手鍋と比較するときの基準となる無水鍋です。

ル・クルーゼやストウブなどの鋳物ホーロー鍋との違いは以下の通りです。

◆素材
アルミ製なので熱伝導性が高く、水や煮汁がすぐに沸くので、調理開始までに時間がかかりません。

◆保温性
厚手鍋なので保温性が高く、火を止めた後の余熱調理もできます。
余熱調理に関しては大きな差は感じにくいと思います。

◆保存性
内側がホーロー加工されていないぶん、1日以上の長期保存には不向きです。

◆持ちやすさ
重さは鋳物ホーロー鍋の1/2で一般的な両手鍋と同じ程度で、収納場所をどこにしても安心です。

KINGシリーズには、フタにツマミがなく、持ち手も非樹脂製なので、調理中はミトンが欠かせません。
ル・クルーゼはフタのツマミが樹脂製なぶん、素手で持つことが可能です。

◆調理法
無水調理ができるのが大きな違いです。
鋳物ホーロー鍋でも似たような無水調理は可能ですが、フタに隙間が空いているぶん、蒸気は出ていきます。

無水鍋も蒸気は出ていきますが、構造上、より出にくくなっている感じです。

◆手入れ
水を入れての急速冷却はどちらも素材を傷める原因になりNG行為です。

ホーロー加工がされていない分、焦げ付きを落とすときなどは、少し手入れが面倒に感じるかもしれません。
後片付けの手間を減らしたいときは、フッ素樹脂加工されたHALシリーズの方が使い勝手が良いです。

写真や食卓に置いたときの見栄えに関しては、ル・クルーゼやストウブが抜群に良いです。

レシピ本もル・クルーゼとストウブが断然多いので「この鍋だからこそ作れる、見せられる料理を作りたい」と思う人に適しています。

鍋の重さで考えると、無水鍋の方が断然軽いので、年齢を経ても使いやすいです。あくまでも無水鍋は日常的に使う両手鍋と言えます。

鋳物ホーロー鍋は、ル・クルーゼやストウブ、バーミキュラなど、種類豊富にあります。

くわしく知りたい方は、下記の関連リンクから各鋳物ホーロー鍋についての解説が読めます。

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