ph調整剤≒保存料?うどんやお茶に入っていると味の変化や危険性はある?
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ph調整剤(ピーエッチちょうせいざい)とは食品の酸性、アルカリ性を調整して、品質を良くする目的で使用される食品添加物の一つです。
食品のpHを弱酸性に調整することで、微生物が増えにくくなり、食品の腐敗や変色を防止して、保存性を高めます。
またpH調整を行なうことで、酸化防止剤や保存料、日持ち向上剤の作用をさらに高める効果もあります。
pH調整剤は使用する食品に制限がないので、サンドイッチ、おにぎり、菓子パン、うどん、飲料(お茶、コーヒー)、乳製品など幅広い食品に利用されています。
家庭で作るときは不要でも、加工食品の製造や流通、保存において、品質の安全を守るために使用する必要があるものです。
pH(ピーエッチ)とは
物質の酸性~アルカリ性を表すもので、0~14の数値で表記されます。
pH=7が「中性」で、数値が小さいほど酸性が強く、大きいほどアルカリ性が強くなります。
※以前は「pH(ペーハー)」の読み方が一般的でしたが、現在は「ピーエッチ」または「ピーエイチ」と呼ばれます。
この記事の目次
ph調整剤は35種類以上
pH調整剤として使用される添加物は35種類以上で、「酸性のpH調整剤」と「アルカリ性のpH調整剤」があります。
◆酸性のpH調整剤
・クエン酸
・リン酸
・リン酸塩
・乳酸
・グルコン酸
・コハク酸
◆アルカリ性のpH調整剤
・炭酸水素ナトリウム
・炭酸カリウム
・酢酸ナトリウム
・クエン酸三ナトリウム
・グルコン酸ナトリウム
など
アルカリ性のpH調整剤は、pH値が低くなり過ぎた(強い酸性になった)ときに使用することで、pH4~5の弱酸性に調整します。
pH調整剤は2~3種類を併用することが多いのですが、どの添加物を使っても、原材料名には「pH調整剤」としか表記されません。
ph調整剤は「食品への使用目的が同じであれば、複数の添加物を使用していても『pH調整剤』と一括表示してよい」とされています。
そのため、ほかの食品添加物とは違い、原材料名を見ても「pH調整剤」としか表記されていないので、使用されている添加物の安全性を調べることができないのがデメリットです。
pH調整剤を入れると味に変化はある?
一般的に食品の酸性が強くなると、酸味を感じやすくなります。
pH調整剤として用いる添加物の種類や使用量によっては、味やニオイに変化がある(酸っぱい味や雑味を感じる)場合があります。
特に本来ならば酸味を感じないような食品に、pH調整剤が使われていると、味の変化に気付きやすいと思います。
もともとの添加物に酸味があったり、高濃度になると酸味が出てきたりする可能性が考えられます。
pH調整剤は一括表示が認められているので「どのpH調整剤を使ったから、味が変化したのか」は、わかりにくくなっています。
ちなみに酸味料は「食品に酸味を付けて、風味を良くすることをを目的として使用する食品添加物」で、pHと同じ添加物が使用されていることもあります。
うどんにpH調整剤が入っている理由
うどん、特に「ゆでうどん」や「袋入りうどん」にはpH調整剤が入っていることが少なくありません。
うどんにpH調整剤を使用する理由には「うどんをゆでるときに、ゆで湯を弱酸性にした方が、煮崩れが少なく、見た目の良いうどんに仕上がる」ことが挙げられます。
そのため、原材料名にpH調整剤が表記されているうどんを、そのまま食べたり、ゆでたりすると、酸っぱさを感じやすく、味がイマイチになりやすいです。
下ゆで用と出汁用のお湯は分けたり、うどんの汁を濃い目にしたりすると、独特の味は感じにくくなります。
お茶はビタミンCと併用でさらに酸化防止
お茶にpH調整剤が添加されているときは、酸化防止剤(ビタミンCなど)とセットになっていることが多いです。
「宵越しの茶は飲まない」と言われるように、お茶に含まれるカテキン類は非常に酸化しやすい性質があります。
お茶飲料に酸化防止剤を添加することで、お茶の酸化を防ぎ、品質を保ちます。
※使用する目的には「お茶の製造過程で失われるビタミンCを補充するために使用する」という説明がなされることもあります。
酸化防止剤を使用するとお茶のpH値が変わるので、それを調整するためにph調整剤(炭酸水素ナトリウムが多い)を添加することもあります。
またpH調整剤はほかの添加物と併用することで、さらに効果が高まる作用があるので、お茶に酸化防止剤と一緒に入れることでさらに酸化を防ぎます。
ちなみにビタミンC(アスコルビン酸)は、食品に利用される程度の濃度では、ほとんど味を感じません。
お茶の種類や使用する茶葉によっても「酸味のあるなし」は変わって「酸化防止剤やph調整剤が入ったお茶だから」
保存料や酸化防止剤との違いは?
食品に用いることで、食品の安全性を保つ役割を果たす食品添加物には「保存料」や「酸化防止剤」があります。
保存料:微生物の増殖を抑制する
食品の腐敗や変色の原因になる微生物(細菌やカビ、酵母など)の増殖を抑制する働きがあります。
保存料として使用される物質としては「ソルビン酸」「安息香酸」「プロピオン酸」が代表的です。
同じ物質でpH調整剤と保存料の両方に分類されるものには「酢酸カルシウム」があります。
「合成保存料には発がん性がある」と指摘されるようになってから、各食品メーカーでは保存料の使用が避けられており、その代わりにpH調整剤を用いられることが多くなりました。
使用する物質の種類は別物ですが「微生物の繁殖を抑制する」という目的は同じです。
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酸化防止剤:食品の酸化を防止する
食品に含まれる油脂が酸化したり、食品が酸化することで食品の風味や色が悪くなるのを防止する働きがあります。
酸化防止剤自体が酸化されることで、食品の酸化を防ぎ、食品の品質を保持します。
代表的な酸化防止剤には「ビタミンC(アスコルビン酸)」「亜硫酸塩」「ビタミンE(トコフェロール)」「BHT」「BHA」があります。
pH調整剤は「食品を弱酸性にする」、酸化防止剤は「酸化防止剤を酸化させる」という部分が違います。
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安全性は高いが過剰摂取には注意
基本的に過剰摂取さえなければ、安全性は高いです。
たとえばpH調整剤で使用される機会が多い「リン酸塩」は、過剰摂取になるとカルシウムの吸収を阻害して、骨粗しょう症などの原因になると指摘されています。
ただし「1日あたりのリン酸塩の摂取量と、リンの最大耐容一日摂取量を考えても、安全性上、問題はない」との報告は複数あります。
※最大耐容一日摂取量とは、「一つの物質を生涯に渡って継続的に摂取し続けても、健康に悪影響を与えない」と推定される1日あたりの摂取量のことです。
ちなみにpH調整剤を含む食品を飲食しても、体内のpHが変わる危険性はありません。
またpH調整剤は使用可能な食品に制限がないぶん「気付かないうちにpH調整剤を摂り過ぎている」という心配はありますが、普通の食生活ではあまり気にしなくても大丈夫そうです。
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