食品に酸味料を使う効果とは?ph調整剤や保存料と用途の違い
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酸味料には食品に酸味を付けたり、味を調整したりする効果があります。
飲料(特に清涼飲料水)、菓子、おにぎり、サンドイッチ、漬け物、パン、ワインなど、いろいろな食品に幅広く用いられています。
pH調整剤や保存料、酸化防止剤の代わりに利用されることもあります。
もともと食品に含まれる物質を酸味料として使用しているため、毒性が強いものはなく、危険性はほとんど心配ないです。
この記事の目次
酸味料の種類と特徴
酸味料として使用される添加物(物質名)は24品目以上あります。
有機酸とそのナトリウム塩、カリウムがおもに用いられています。
◆酸味料として使われる物質(一例)
・アジピン酸
・クエン酸
・クエン酸三ナトリウム
・グルコノデルタラクトン
・グルコン酸
・グルコン酸カリウム
・グルコン酸ナトリウム
・コハク酸
・コハク酸一ナトリウム
・コハク酸ニナトリウム
・酢酸ナトリウム
・DL-酒石酸
・L-酒石酸
・DL-酒石酸ナトリウム
・L-酒石酸ナトリウム
・二酸化炭素
・乳酸
・乳酸ナトリウム
・氷酢酸
・フィチン酸
・フマル酸
・フマル酸一ナトリウム
・DL-リンゴ酸
・DL-リンゴ酸ナトリウム
・リン酸
……など
天然のものは「イタコン酸」と「フィチン酸」で、それ以外は化学合成されたものです。
複数の添加物でも同じ目的で使用する場合は、原材料名は「酸味料」と一括表示が可能です。
また単体で「原材料名:クエン酸」のように物質名だけが表記されることもあります。
クエン酸は酸味料のほかにも、酸化防止剤やpH調整剤、調味料としても利用されるので「クエン酸」とだけ表記された場合は用途がわかりにくくなっています。
クエン酸
デンプンや糖を発酵させて作られた物質で、pH調整剤や調味料、酸化防止剤としても使用されます。
柑橘類の酸味の主成分として有名で、穏やかで爽快な酸味があります。
おもにフルーツ系の酸味を加えたいときに利用されることが多く、清涼飲料水やゼリー、キャンディ、ジャム、フルーツ缶などに用いられます。
「洗浄剤」として掃除や洗濯、ポット洗浄などの日用品としても使われていますが、通販などでは食品添加物規格(グレード)も手に入ります。
クエン酸を炭酸ナトリウムで中和させたのが「クエン酸ナトリウム(クエン酸Na)」で、酸味を和らげる作用があります。
pH値は中性~アルカリ性で、クエン酸ナトリウムの使用量が多くなると、pHが中性に近づきます。
酸味料の用途以外にも、調味料やpH調整剤、乳化剤としての目的で利用されています。
乳酸
ブドウ糖(デンプンや糖類)やアルデヒド類を原料とした物質で、ヨーグルトやチーズなど、乳製品の発酵食品にも多く含まれます。
抗菌作用があり、乳酸を添加することで、食品の抗菌性が高まります。
乳酸飲料のような口の中にまとわりつくような、穏やかな酸味が特徴的です。
パイナップルやさくらんぼ系の清涼飲料水に使用すると、ほかの酸味料では出せないような酸味に仕上がります。
ほかにも乳酸飲料、酒類、漬け物、シャーベット、ゼリー、ジャムなどにも使用されます。
ビタミンC(アスコルビン酸、V.Cなど)
ブドウ糖(グルコース)を発酵させて得られる物質で、水溶性ビタミンなので、水に溶けやすい性質があります。
舌にじんわりと残るような少し弱い酸味で、クエン酸と混ぜるとレモンに近い味になります。
酸味料のほかに、酸化防止剤として多く用いられることが多い物質です。
酒石酸(しゅせきさん)
酸味がある果物(時にブドウ)に含まれる酸で、ワイン製造時に生成される沈殿物「酒石」が原料です。
少し収れん味と渋みを感じさせる爽快な酸味があり、レモン汁や酢の代用としても利用されます。
おもに清涼飲料水、ゼリー、キャンディに使用されており、リンゴ酸やクエン酸と一緒に使われることも多いです。
コハク酸
琥珀(こはく)の乾留から発見された物質で、マレイン酸から化学合成されます。
貝類に含まれる強いうまみ物質で、みそやしょうゆ、お酒に添加することで、うまみと酸味の両方が得られます。
調味料やpH調整剤としても使われます。大量使用はエグミが増します。
氷酢酸
氷酢酸とは純度98%以上の酢酸のことで、冷却すると凍結することから「氷酢酸」と呼ばれます。
酢に含まれる物質で、強い刺激臭のする酸味が特徴的です。
ちなみに食酢は酢酸が3~5%ほど含まれます。
苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)で中和したのが「酢酸ナトリウム」です。
食品の酸味調節のほかにも、微生物の増殖を抑制する効果もあるので「日持ち向上剤」としても用いられます。
リンゴ酸
リンゴや(ワイン用)ブドウなどの果物に含まれる物質で、後味に残る強い酸味があります。
りんごを用いた加工品、清涼飲料水、アイス、シャーベットに用いられることが多いです。
天然のリンゴ酸(L-リンゴ酸)は食品添加物の使用が認められていないので、化学合成で得られる「DL-リンゴ酸」と「DL-リンゴ酸ナトリウム」が利用されます。
ほかにもpH調整剤や乳化剤として、食品の品質を保つ目的で使用されます。
リン酸
ミネラルのリン灰石を原料とした物質で、渋みある酸味があります。
水に溶けやすく、医薬品や園芸用肥料としても利用されます。
pH調整剤や保存料との違い
酸味料は「食品の味の向上」、pH調整剤や保存料は「食品の品質向上」の目的でおもに使用されます。
pH調整剤:食品を弱酸性にする
pH調整剤は食品のpH値(酸性~アルカリ性)を調整する作用があります。
食品を弱酸性にすることで、微生物(細菌、カビ、酵母など)の増殖を防ぎ、食品の劣化を防止します。
クエン酸など一部の酸味料はpH調整剤としても利用されており、添加物の種類や使用量(濃度)によっては「酸っぱい味」になります。
そのため、原材料名にpH調整剤ではなく「酸味料」の表記があった場合は、酸味料がpH調整剤のような働きを兼ねている場合も考えられます。
たとえば、一部のうどんには「ゆでるときに弱酸性のお湯を使うと、うどんに含まれるタンパク質が固まるので、煮崩れが少なく、形よく仕上がる」という理由で、pH調整剤や酸味料が添加されています。
うどんには(氷)酢酸が用いられることが多く、酢酸は食酢に含まれる物質でもあります。
商品によっては「醸造酢」の表記もありますが、pH調整剤や酸味料と同じ目的で使用されています。
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保存料:微生物の増殖を抑える
食品に保存料を添加することで、微生物(細菌、カビ、酵母など)の増殖を抑制する効果があります。
保存料としては「ソルビン酸」「安息香酸」「プロピオン酸」が代表的です。
酸味料は食品に酸味を加えることで、微生物の増殖抑制にもなるので、保存料の代用として使用されることもあります。
また酸味料と保存料を一緒に併用することで、相乗効果が得られます。
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もともと食品に含まれている成分なので安全性は高い
酸味料として使用される物質は、もともと食品に含まれているものなので、食品に酸味料を添加しても安全性に問題がないと言われます。
毒性が強いものはありませんが、原材料名では「酸味料」と一括表示されるので「酸味料として何がどれだけ使用されているのか?」がわからないのがデメリットです。
酸味料の物質によって、酸味や口当たりに違いがありますが、加工食品にはいろいろな食材や食品添加物が使用されているので「食べただけで何の酸味料が入っているかわかる」は難しいところがあります。
また酸の過剰摂取は口内や胃などの粘膜を刺激する原因にもなります。
日本生協連の自主基準では、原則として用途名と物質名の併記を行なっています。
ほかでは「原材料名:酸味料」だけのところ「原材料名:酸味料(クエン酸)」のように物質名も明記されています。
「自分や子どもが何を食べているのか明確に知っておきたい」という人は、生協で買い物をするのも一つの方法だと思います。
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