レシチン(大豆由来)でよく見る乳化剤とは?アレルギーの危険性や体への影響はある?

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乳化剤

乳化剤とは水と油のように、本来ならば混ざり合わないものが均一に混ざり合うために使用される食品添加物です。

たとえばペペロンチーノは、オリーブオイルにパスタのゆで汁を加えて「乳化」させることで、とろみあるパスタソースを作りますが、これはゆで汁に含まれるデンプンやグルテンが乳化剤の役割を果たしたからです。

ほかにも手作りマヨネーズを作るときに、卵(卵黄)を使用しますが、これは卵黄に含まれる「卵黄レシチン」の作用で、酢と油が混ざり合いやすくなります。

乳化剤には、食品や飲料に含まれる成分が分離するのを防いだり、滑らかさを出して舌触りを良くしたりする効果があります。

使用される食品は、パン、アイスクリーム、コーヒー、ソーセージ、ハンバーグ、かまぼこ、ちくわ、チョコレート、キャンディ、チューインガム、ドレッシング、調味料、豆腐など、多岐にわたります。

乳化剤を使用する用途は非常に多い

生チョコレート

乳化剤には、性質の異なる物質の境界線(界面)を変える作用があるので、乳化以外にもいろいろな役割を果たします。

◆起泡
液体を混ぜたときに発生する泡(空気)を安定化させて、食品がしぼまないようにする。
食品例:パン、ケーキ、シュークリーム、ホイップクリーム、アイスクリーム

◆消泡
液体に泡が発生しないようにしたり、発生した泡を消したりすることで、食品の口当たりを滑らかにする。
食品例:豆腐、プリン、ジャム、飲料

◆分散
粉末などの細かい粒子状の物質を、液体に混ぜ合せて安定化させる。
食品例:ココア飲料、コーヒー飲料、チョコレート

◆滑沢
原料の粉末の流動性を高めて、表面のツヤを出したり、滑らかにしたりする。
食品例:タブレット菓子、焼き菓子、練り物(かまぼこ、ちくわ)

◆湿潤
固体を液体に濡れやすくすることで、粉末のダマを抑制する。
食品例:粉末食品

◆浸透
固体の表面を液体に浸透しやすくする。
食品例:インスタントコーヒー、粉末ココア

◆老化防止
食品に含まれる水分を保ち、食感の劣化を防ぐ。
食品例:パン、お菓子、めん類、羊かん

◆可溶化
水に溶けない、溶けにくい油性の香料を分散させて溶けたような状態にする。
食品例:ドレッシング、ソース

「なぜこの商品に乳化剤が入っているの?」と疑問に思う食品でも、上記のような何らかの理由があるのです。

乳化剤の種類一覧とおもに使用される物質の特徴

食品添加物の種類

食品添加物として用いられる乳化剤には、合成添加物と天然由来の添加物があります。

おもに使用されるのは、合成添加物だと「グリセリン脂肪酸エステル」、天然由来の添加物は「レシチン」です。

合成添加物
・グリセリン脂肪酸エステル
・ソルビタン脂肪酸エステル
・プロピレングリコール脂肪酸エステル
・ショ糖脂肪酸エステル
※すべて指定添加物に分類されます。

天然由来の添加物
◆指定添加物
・カゼインナトリウム
・ヒマワリレシチン

◆既存添加物
・キラヤ抽出物(キラヤサポニン)
・酵素処理レシチン
・酵素分解レシチン
・植物性ステロール(フィトステロール)
・植物レシチン
・スフィンゴ脂質
・ダイズサポニン
・胆汁末(コール酸、デソキシコール酸)
・動物性コレステロール(コレステロール)
・分別レシチン(レシチン分別物、レシチン)
・ユッカフォーム抽出物(ユッカ抽出物)
・卵黄レシチン(レシチン)

複数の乳化剤を使用しても、原材料名には「乳化剤」と一括表示が認められています。

または「原材料名:レシチン(大豆由来)」「グリセリン脂肪酸エステル」というように、物質名だけが表記されている場合もあります。

グリセリン脂肪酸エステル

乳化剤のなかでも使用量が多く、何十年も利用実績があるのが「グリセリン脂肪酸エステル」です。

脂肪酸とグリセリンを反応させて製造されるもので「グリセリンエステル」とも呼ばれます。

値段が安く、乳化作用のほかに、起泡や消泡、デンプンの品質改良などの目的でも幅広く利用されています。

洋菓子、パン、アイスクリーム、マーガリン、ショートニング、乳製品、豆腐、めん類などで見かける機会が多いです。

レシチン類

レシチンはアブラナやダイズの種子、卵黄などから抽出されます。

乳化や分散、湿潤の用途で、菓子類(チョコレート)や、アイスクリーム、粉末ドリンクなどに利用されます。

マーガリンやショートニングに添加すれば、乳化の安定以外に、油ハネ防止にもなります。

原料や生成方法により、レシチンは「植物レシチン」「卵黄レシチン」「酵素処理レシチン」「酵素分解レシチン」「分別レシチン」に分類されます。

◆植物レシチン
アブラナや大豆の種子から得られたもの。

◆卵黄レシチン
卵黄の卵黄油から分離して得られたもの。

◆酵素処理レシチン
植物レシチンや卵黄レシチンとグリセリンの混合物に、加水分解酵素(ホスホリパーゼD)を使用して得られたもの。

◆酵素分解レシチン
植物レシチンや卵黄レシチンを酵素分解したもの。「酵素分解植物レシチン」と「酵素分解卵黄レシチン」の2種類がある。

◆分別レシチン
植物レシチンや卵黄レシチンから、エタノールなどを用いて抽出されたもの。

ただし原材料名には「レシチン」と簡略名で表記されることが多いです。

原材料名にある「(大豆由来)」はアレルギー対策

大豆、卵、牛乳

商品パッケージの原材料名を見たときに「乳化剤(大豆由来)」「レシチン(大豆由来)」と特定の食材が記載されている場合があります。

これは「添加物のうち、過去の症例や知見によりアレルゲン性がないことが明らかなもの以外は、使用された特定原材料が判別できるように表示すること」としているからです。

原料にアレルギー食材が含まれるのと比較すれば、乳化剤として使用する程度の量であれば、危険性は低いのですが、絶対に安全とも言い切れないのが現状です。

・卵黄から製造されるレシチン → 「卵黄レシチン」
・大豆から製造される植物レシチン → 「レシチン(大豆由来)」「植物レシチン(大豆由来)」「乳化剤(大豆由来)」
・牛乳から製造されるカゼインナトリウム → 「カゼインナトリウム(牛乳由来)」

※ほかにも「乳化剤」とだけ記載があり、最後の方に(原材料の一部に大豆、卵、乳を含む)という表記が使われる場合もあります。

ちなみに、特定原材料が大豆のみの場合だけに「(大豆由来)」の表記ができます。

大豆由来以外の乳化剤と併用した場合は「乳化剤(大豆、牛乳由来等)」という形で表記されます。

参考資料:アレルギー物質を含む食品の表示についての考え方 – 厚生労働省

安全性は高いが、原材料によってはアレルギーが心配

低リスク

おもに使用されている乳化剤は、もともと食品に含まれる成分だったり、何十年もの使用実績があったりするものなので、体への影響などの安全性に問題はありません。

ただし、原材料名に「乳化剤」しか表記されないことも多く「何が使われているのかわからず、不安に感じやすい」という面はあります。

またショ糖脂肪酸エステルの大量摂取は、お腹がゆるくなる場合がありますが、食品添加物として使用されている程度の量では心配ありません。

各原材料への危険性は?

中リスク

大豆や卵黄、牛乳などアレルギー物質を含む食材が、乳化剤の原料として使用されている場合は、原材料名に「大豆由来」「卵黄レシチン」「(原材料の一部に乳を含む)」などの形で明記されています。

乳化剤の原料にアレルギーがある人は、絶対に危険性がないとは言い切れない(から表示されている)ので「非アレルゲン由来の乳化剤を使用している商品を選ぶ」や「体調の悪いときは食べない」などのリスク回避を行なった方が安心です。

ちなみにレシチンの原料に使用される大豆には、遺伝子組み換え大豆が使用されている可能性もあります。

食品添加物には「遺伝子組み換え」の表示義務がないからで、乳化剤にまで加工された大豆を、安全と思うか危険と思うかは、正直、個々人の考え方次第です。

用途別に必要・不要を見分ける

お茶を飲む赤ちゃん

同じような食品や飲料でも「乳化剤」の有無には違いがあります。たとえば赤ちゃん用の麦茶でも「乳化剤入り」の商品を見かけます。

麦茶などのお茶に乳化剤を入れる目的には、おもに「お茶の濁りを減らす」「香りを引き立たせる」「運搬時に発生しやすい泡立ちを防止する」が挙げられます。

乳化剤は食品を効率的に製造したり、食品の品質を良くしたりするのに、必要不可欠な場合も多いですが、一部は「不使用でもよいのではないか?」と思うものも存在します。

そのため「この商品には乳化剤が入ってなくてもよいと思う商品は選ばない」という判断でよいと思います。

ちなみに缶やペットボトルのお茶でよく見かける「原材料名:ビタミンC」は、酸化防止剤やpH調整剤などの目的で使用されている食品添加物です。

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