保存料は体への影響や危険性はある?ソルビン酸、安息香酸の特徴と防腐剤との違い
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保存料は食品の保存性と安全性を高める目的で使用される食品添加物の一つです。
食品に保存料を用いることで、微生物(細菌やカビ、酵母など)が付着しても増殖しなくなり、食品の日持ちをよくする効果があります。
一方で体への影響や危険性を指摘する声も多く「保存料無添加」を強調した加工食品も多く見かけるようになりました。
パッケージの原材料名にある「保存料」の表示が気になったときに知りたい、保存料を使用するメリット(目的)と、デメリット(体への影響、危険性)について説明します。
この記事の目次
保存料のメリット・デメリット
食品に保存料を使用するメリットは、食品の腐敗や変敗を抑えて、食中毒の危険性を減らし、長持ちさせることです。
食品の保存性を高める方法として、昔から「塩漬け」「砂糖漬け」といった保存法が取られていました。
塩や砂糖を使うことで水分が抜けるため、長期保存が可能になります。
ただし最近は「減塩」「減糖」の志向が高まっており、塩や砂糖の使用量を減らすと、保存性が落ちるので、食品が傷むのが早くなります。
食品を日持ちさせるために、代わりに使われるのが「保存料」や「酸化防止剤」などの食品添加物です。
ちなみに冷凍食品や缶詰、瓶詰め、レトルトパウチでは保存料が入っていないことが多いです。
その理由は-18℃で冷凍保存したり、容器ごと加熱したりすることで、保存料を使わなくても菌の増殖が抑えられて、品質を保てるからです。
たとえばお正月前によく宣伝される「保存料無添加のおせち」は、おせち料理を冷凍状態にするため、保存料を添加せずに作られます。
また加工食品の工場の衛生環境が良くなく、微生物が多い環境だと、保存料を多く使用することになります。
保存料のデメリットは「発がん性など体への悪い影響を与える危険性が考えられる」ということです。
◆安息香酸(あんそくこうさん)
・ビタミンCと反応してベンゼン(発がん性物質)に変わる。
・白血病を引き起こすリスクがある。
・胃腸の粘膜に影響を与える。
◆ソルビン酸
・亜硝酸と反応して変異原性物質や発がん性に変わる。
・遺伝子や染色体を傷つける。
◆プロピオン酸
・胃痙攣や嘔吐などの症状を引き起こす。
◆しらこたん白
・血液中の赤血球や肝臓に悪影響を与える。
上記の保存料には使用基準があり「保存料を摂取したあとすぐ、体への影響が出る」というわけではありません。
ただし少量でも食べ続けることで、将来的に毒性が現れる危険性は否定できません。
そのため、各食品メーカーでは「保存料の使用をできる限り控えたい」として、保存料無添加の食品開発を進めています。
保存料の種類と特徴
食品に保存料が使われている場合は、原材料名の欄に保存料(物質名)が記載されます。
保存料( )
↑ ↑
用途名 物質名
保存料は大きく分けて、酸性の食品に有効な「酸型保存料」と、pHに影響されない「非解離型保存料」の2種類があります。
◆酸型保存料
安息香酸、ソルビン酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、プロピオン酸
◆非解離型保存料
パラオキシ安息香酸エステル
保存料のなかでもよく使われるのが「ソルビン酸」「安息香酸」「プロピオン酸」の3つです。
ソルビン酸
食品例:漬け物、佃煮、魚肉ねり製品、食肉製品(ハム、ベーコン、ソーセージ、ウインナー)、いかくん製品、チーズ
ソルビン酸/ソルビン酸カリウム(K)は、無味・無臭で、保存料のなかでもっとも使われる保存料です。
抗菌力はあまり高くないですが、カビ、酵母、好気性菌(増殖するのに酸素が必要な菌)など幅広い微生物に対して抗菌性があります。
そのぶん、さまざまな食品に使われています。
ソルビン酸は脂肪酸(不飽和脂肪酸)なので、体内に入ったあと、二酸化炭素と水として代謝されます。
安息香酸
食品例:清涼飲料水、栄養ドリンク、マーガリン
安息香酸/安息香酸ナトリウム(Na)は、ソルビン酸と同様に、さまざまなカビや細菌に対して、菌の増殖を抑制して菌を減らす「静菌性」の作用がある保存料です。
静菌効果は食品のpH(酸性/アルカリ性を表す尺度)によって大きく異なります。
安息香酸は食品のpHが低い(酸性が強い)ほど、静菌効果が発揮されるので、使用の際は食品のpHを低くする(酸性にする)必要があります。
体内に入った安息香酸は、消化管から吸収されて、最終的に尿として排出されます。
安息香酸の静菌効果を油ものに使えるように開発した「パラベン(有機酸エステル類)」に代用されていることもあります。
プロピオン酸
食品例:チーズ、パン、洋菓子
プロピオン酸/プロピオン酸カルシウム(ca)/プロピオン酸ナトリウム(Na)は、酵母や細菌の増殖を抑制する作用があります。
みそやしょうゆ、パン、チーズ、漬け物などの発酵食品でも菌の働きによって生成されます。
独特のニオイがあるので、使用される食品は限定されていますが、香料の成分として使用される場合もあります。
原材料名だけでは保存料の有無がわからないことも
ちなみに加工食品に使われた原材料に含まれる食品添加物が、最終的に加工食品になるまで残っていたとしても、その量が微量で食品添加物としての効果を発揮しない場合は、加工食品の原材料名には表示されません。
表示を免除される食品添加物のことを「キャリーオーバー」と言います。
キャリーオーバーは保存料でも起こり得ることです。
たとえば「おかき」の味付けに、保存料を含むしょうゆを使用した場合、しょうゆに含まれる保存料はごく少量で、おかきの品質保持には役に立たないので記載されません。
保存料≒pH調整剤
また「保存料無添加」と記載された加工食品のなかには、(保存料には入らない)合成添加物やpH調整剤などを使って、食品の日持ちをよくさせている可能性もあります。
わかりやすいのが「保存料を使用していません」とある食品の原材料名に「pH調整剤」が入っている場合です。
pH調整剤は食品の腐敗・変色防止に使われる食品添加物の一つです。
「合成保存料は危険性がある」と言われて、使用が避けられるようになってから、代わりに用いられることが多くなりました。
pH調整剤として使用される添加物には、複数種類あります。
たとえば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、リン酸、グルコン酸、コハク酸、炭酸カリウムなどが挙げられます。
ただし「pH調整剤」と一括表示が認められているので、その食品に何の添加物が使われているかはわかりません。
そのため、保存料のように「安息香酸Naは安全かどうか?」と物質名で調べることが難しく、リスク回避がしにくいというデメリットがあります。
防腐剤や日持向上剤との違いは?
防腐剤とは、静菌作用(微生物の繁殖を防止して、腐敗や発酵を防ぐ)を目的として使用される薬剤のことです。
おもに「工業」「食品」「医療品・化粧品」の分野で使われており、食品用の防腐剤=食品添加物の保存料とも言えます。
ちなみに日持ち向上剤は、お惣菜やサラダなど消費期限の短い食品に使われる食品添加物です。
数日間の腐敗や変敗を抑えて、食中毒などを防止する目的で使用されており、食品の保存性を上げる効果は低いです。
保存料とは保存性(日持ちする日数)や物質名が違います。
日持ち向上剤としては、グリシン、リゾチーム、チアミンラウリル硫酸塩、ローズマリー抽出物などがあります。
保存料のように[日持ち向上剤(グリシン)]とは表示されず、物質名だけが記載されています。
スーパーやコンビニのお惣菜などに、上記の名前が表示されていたら「これは日持ち向上剤だ」と見分けられます。
保存料のおさらい
保存料は、微生物の繁殖を抑えて、食品の保存性を高めるのに使用される食品添加物です。
加工食品の日持ちをよくするために使われていた塩や砂糖の代用として用いられてきました。
おもにソルビン酸、安息香酸、プロピオン酸が保存料として使われています。いずれも化学的に作られた「合成保存料」です。
保存料を摂取することで、すぐに体への影響が出るわけではありませんが、発がん性などの危険性は指摘されています。
そのため「保存料無添加」を謳った加工食品も多く販売されています。
ただし元々保存料を使わなくても製造できたり、微量なために表示の免除を受けていたり、保存料の代わりにpH調整剤を使っていたりする場合もあるので「保存料無添加だから危険性がない」とは限りません。
生協(コープ)で取り扱っている食品は「不要な食品添加物を使用しない」ことを原則としており、自主基準で保存料を含む食品添加物の使用を禁止・制限しています。
「なるべく食品添加物を摂りたくないけど、やっぱり加工食品は食べたい」と思うのであれば、生協の加工食品を利用してみるのも一つの方法です。
生協のなかでも生活クラブは食品への安全性に関する取り組みを徹底的に行なっています。
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