じゃがいもの下準備と料理別おすすめの切り方7種類
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じゃがいもを使った料理を作る際、美味しく作るための下準備と料理に合わせたおすすめの切り方を紹介します。
この記事の目次
流水でよく洗う
じゃがいもには土が付いているので、1個ずつよく洗います。
スポンジやタワシを使うと、手が汚れず、細かい部分まで、きれいに土を落とせます。
ただし新じゃがや早春じゃがいもは皮が薄く、スポンジでも皮がはがれてしまうので、手で洗った方が良いです。
ボウルにじゃがいもと水を入れて5分ほど浸しておくと、表面の泥が落ちやすく、洗う手間が省けます。
芽や緑色の部分は必ず取り除く
じゃがいものくぼみ部分から芽が出ていたり、皮が緑色になっていたりするときは、必ず取り除きます。
先に皮をむくと、どの部分を取り除けばよいか分かりにくくなるので、最初に行なうことをおすすめします。
芽と芽の根本・周辺や、光合成で緑色になった皮の部分には、天然毒素「ソラニン、チャコニン」が含まれています。
- 芽を取り除き、根本と周辺を大きくえぐり取る。
- 緑色になった部分は、厚めにむく。
包丁の根本や皮むき器(ピーラー)のU字部分を、じゃがいもの芽の近くにあてて、芽を中心にくるっと回すと、きれいにえぐり取れます。
芽が出ておらず、ただのくぼみ(じゃがいもの目とも呼ばます)であれば、そこまで神経質にならなくて大丈夫ですが、念のために取り除いた方が安全性は高いです。
ちなみに、じゃがいものくぼみ部分が赤いときは、じゃがいもの品種が「キタアカリ」だと思いますが、それはキタアカリの性質なので特に心配することはありません。
くわしく知りたい:天然毒素「ソラニン、チャコニン」とは?
ソラニン、チャコニンは、ナス科の植物などに含まれる天然毒素で、苦みやエグミを与えたり、中毒症状を引き起こします。
じゃがいもを食べたときに「何か変に苦い。エグミがある。舌や口の中がピリピリする」と感じたら、ソラニンやチャコニンを多く含んでいる可能性が高いです。
中毒症状としては、吐き気、腹痛、下痢、めまい、頭痛などが現れます。
重症になると、神経症状や視覚障害(眠気、無気力、錯乱、衰弱など)があり、最悪の場合は死亡することもあります。数は少ないですが実際に死亡者も出ています。
症状が現れるのは、食後、数分から数日後とバラツキが大きいので注意が必要です。
ソラニンやチャコニンは、加熱調理(ゆでる、煮る、揚げる、焼く)をしてもほとんど減らないので、根本的な原因を取り除くのが、食中毒の確実な対策になります。
・芽や根本周辺を完全に取り除く
・緑色になっている部分は、皮の内側もすべて取り除く
芽が出ておらず、緑色になっていなくても、皮の部分にはソラニン、チャコニンが含まれています。
苦味があるじゃがいもよりも濃度的には低いですが、なるべく皮をむいて食べた方が安心です。
部位 | グリコアルカノイドの濃度(mg/100g) |
---|---|
通常のじゃがいも(全体) | 4.3~9.7 |
通常のじゃがいも(表皮部分) | 30~60 |
通常のじゃがいも(皮部分) | 15~30 |
苦味のあるじゃがいも | 25~80 |
※グリコアルカロイドは、α-ソラニンやα-チャコニンなどの総称です。
データ引用元:食品に含まれるソラニンやチャコニン – 農林水産省
またグリコアルカロイドの濃度は、男爵イモよりもメークインの方が高い傾向にあるので、特にメークインを食べる時は、できるだけ皮をむきましょう。
皮をむく
じゃがいもの皮のむき方は、おもに「皮むき器」「包丁」「加熱」の3通りの方法があります。
自分がもっともやりやすく、ケガがない方法を選択してください。
皮むき器(ピーラー)
じゃがいもを縦に持ち、上の皮部分に押し当てて、下へと移動させます。
包丁
使う包丁はペティナイフや果物包丁など小さめサイズが使いやすいです。
リンゴや大根の皮むきと同じように、じゃがいもを回しながら、皮をけずり取るようにむきます。
メークインのような細長くてデコボコが少ないじゃがいもは、奥から手前へと、薄くけずり取っていく方法もあります。
加熱する
1.じゃがいもの中心をぐるりと一周切り込み(約1mmが目安)を入れます。
2.ゆでるか電子レンジで加熱します。
▼ゆでる
鍋にじゃがいもと、じゃがいもが浸かる程度を入れて、10~20分ほどゆでます。
▼電子レンジ
じゃがいも中サイズ1個に対して2~3分加熱します。
3.ボウルに氷水を張り、じゃがいもを10~20秒ほど浸します。
4.切り込みを中心に左右に引っ張ると皮がするっとむけます。
※加熱をして皮をむく方法は、皮だけがきれいに取れますが、皮の周辺にある天然毒素(ソラニンやチャコニン)は残りやすいです。
また皮をむいたときに緑色に変色している場合は、ソラニンやチャコニンが多く含まれている証拠なので、緑色がなくなるまで取り除きます。
中毒症状を防ぐためにも、もともと濃度の低い男爵イモや、長期保存していないじゃがいもで行なうことを強くおすすめします。
料理別おすすめの切り方
じゃがいも料理で、使う機会の多い切り方をまとめました。
切り方 | 適した料理 |
---|---|
一口大に切る | 肉じゃが、カレー、シチュー、みそ汁、スープ、粉ふきいも、炒め物、マッシュポテト |
くし型切り | フライドポテト、ジャーマンポテト |
半月切り | みそ汁、炒め物、ポテトグラタン、マッシュポテト |
拍子木切り | フライドポテト、炒め物 |
短冊切り | ジャーマンポテト、炒め物 |
細切り | 炒め物 |
千切り | じゃがいものガレット、じゃがいもチヂミ |
角切り | オムレツ、スープ |
一口大に切る
「一口大(ひとくちだい)」とは、約3cmを目安に切ることを言います。
じゃがいもの切り方でもっとも使われることが多いのが「一口大に切る」で、
料理に合わせて一口大よりも大きく切ったり小さく切ったりすることが求められるときは「一口大より大きめに切る」「小さめの一口大に切る」という言い方をします。
1.じゃがいもを縦半分に切り、さらに縦に半分切ります。
2.切り口を下にして、元のじゃがいもの大きさに合わせて、3cm幅になるように横に半分または3等分に切ります。
横に半分ならば8個、3等分ならば12個の一口大のじゃがいもが作れます。
くし型切り
食材を半分にしたあと、同じ大きさになるように、放射線状に切る方法です。
フライドポテトでよく使われる代表的な切り方で、フレッシュネスバーガーのフライドポテトはくし型に切られたポテトが使用されています。
1.じゃがいもを縦半分に切ります。
2.切り口を上にして、すべてが同じ大きさになるように、3等分または5等分に切ります。
※切り口を下にして、中心に向かって切る方法もあります。やりやすい方を選んでください。
3等分だと8個、5等分だと12個のくし型のじゃがいもになります。
半月切り
輪切りを半分にした形が「半月切り」です。
幅に指定はなく、使いたい料理に合わせて幅を決めて切ればOKです。
厚みを均一にすることで、まんべんなく火が通りやすく、煮る系の料理に用いられます。
輪切りだとサイズが大きいときに使うことが多く、先に半分に切った方が、じゃがいもが転がらず上手く切れます。
1.縦半分に切ります。
2.切り口を下にして、一定の幅で切ります。
拍子木切り
長さ4~5cm、幅1cm、厚さ7mm~1cmくらいを目安に棒状にする切り方です。
ケンタッキーフライドチキンやモスバーガーなど「少し太め」のフライドポテトや、炒め物で使われる機会が多いです。
1.幅4~5cmの輪切りにします。
2.輪切りを幅1cmで切ります。
3.更に2を幅1cmで切ります。
(太い)拍子切り>短冊切り>細切り>千切り(細い)
短冊切り
長さ4~5cm、幅1cm、厚さ2mmくらいに切る方法です。
拍子切りをさらに薄く切ったのが「短冊切り」で、火の通りが早く、炒め物に適した切り方です。
1.幅4~5cmの輪切りにします。
2.輪切りを幅1cmで切り、さらに幅2mmに細く切ります。
女性の指輪のリング幅が約2mmなので、それを目安にするとわかりやすいかと思います。
細切り
細切りは短冊切りよりも細く、千切りよりも太い幅2~4mmで切るやり方です。
「冷やし中華のキュウリのじゃがいも版」をイメージしてもらえるとわかりやすいかと思います。
炒め物など歯ごたえを楽しみたい料理に使うことが多いです。
1.4~5cmの長さに輪切りにします。
2.1を重ねて、幅3~5mmで細く切ります。
細切りにするとき、横のじゃがいも同士を少し重ねて切るのがよいのですが、難しければ、何回かをまとめて重ねて一気に切っても構いません。
千切り
幅1~2mmに細く切る切り方で、じゃがいものガレット、じゃがいものチヂミに使います。
1円玉や5円玉の厚みが1.5mmなので、それよりも細いか太いくらいの幅で切ります。
1.じゃがいもを1~2mm幅に薄く切ります。
2.薄切りを重ねて、端から同じように1~2mm幅に切ります。
薄く切るのが難しいときは、スライサーや千切り器を使うと早く作れます。
たっぷりの水でさらす
切ったじゃがいもを、たっぷりの水に浸して5~10分ほど置いてから、水気を切ります。
じゃがいもを水に浸けておく理由は、おもに「変色防止」と「デンプンを落とす」の2つがあります。
変色防止
じゃがいもに含まれるアクにより、切ったまま放置すると茶色く変色します。
見た目はあまりよくないのですが、食べても害はありません。
ちなみに切ったときに紫や茶色に変色している場合は、じゃがいもの色素によるもので、基本的に食べても健康に問題はありません。ただし味や食感はイマイチなので、取り除いた方が美味しいです。
デンプンを落とす
じゃがいもに含まれるデンプンは、加熱するとノリ状になり、くっつきやすくなります。
炒めたり焼いたりするときは、事前に水にさらすことで、互いにくっつかず、調理が楽になります。
ただし「じゃがいものガレット」のように、じゃがいものデンプンで食材をくっつけてバラバラにさせないような料理は、水にさらすのはNGです。
ちなみに煮物や汁物では、間に煮汁が入り、くっつく心配がないので、水にさらす必要性は低いです。
デンプン質が多い品種は「男爵イモ、キタアカリ」などの食感がホクホク系のじゃがいもです。
一方でメークインやホッカイコガネ(北海黄金)、ニシユタカはデンプン質が少ないので、水に浸さなくても大丈夫なことが多いです。
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調理開始
後は作りたい料理に合わせて、じゃがいもをゆでたり、炒めたり、揚げたりします。
切ったあと、しばらく使う予定がないときは、水に浸けた状態で保存することをおすすめします。